2016年04月25日
弦のお遊びな

5人の貴公子は、おのおのの才覚?財力?権力を用いていろいろ画策するが、いずれも失敗に終わった。そして、かぐや姫のうわさを聞いた帝も心を寄せるが、彼女がただならぬ人であると知り、連れて帰るのを断念する。
それから3年ほど過ぎた。姫は月を見て物思いに沈むようになった。心配した竹取の翁は、しつこく事情の説明を求める。8月15日が近づき、姫は、自分はもともと月世界の人間であり、十五夜には迎えが来て、月に帰らねばならぬことを告白する。
翁は帝に訴え出て、2000人の軍勢で姫の昇天を阻止しようとするが、天人の前には無力であった。姫は天人の持ってきた不死の薬を残して月世界へと去っていく。帝は、姫のいないこの世では不死の薬も無用と、天に一番近い駿河の山の頂上で焼かせてしまった。それ以来、その山は不死(富士)の山と呼ばれ、また、山から上る煙は絶えなかったという。平安時代の物語文学(1巻)で、9世紀後半の成立とされる。『源氏物語』に「物語の出(い)で来はじめの祖(おや)」とあって、現存する最も古い物語。作者は不明ながら、文体?用語?思想傾向などから漢籍や仏典にくわしい男性知識人と推測される。
竹取りの老人が竹の中に見つけた小さな女の子は、やがて成長して光り輝く美女となる。かぐや姫と名づけられた彼女のもとには多くの求婚者が訪れるが、熱心な5人の公達や帝の求婚をも退け、ついには8月15日の夜に月の国へと帰るというストーリー。
登場人物については、かぐや姫?老夫婦?帝などは架空の人物だが、実在の人物が登場していることも本作品の特徴である。5人の公達のうち、安倍御主人、大伴御行、石上麻呂は実在の人物である。また、車持皇子のモデルは藤原不比等、石作皇子のモデルは多治比嶋だっただろうと推定されている。この5人はいずれも壬申の乱の功臣で天武天皇?持統天皇に仕えた人物であることから、奈良時代初期が物語の舞台に設定されたとされている。
なお、チベットにもこれとよく似た話があり『竹取物語』の原型かと注目されたが、大正ごろに日本から輸入されたとの説もある。そののち、翁?女、血の涙を流して惑へどかひなし。あの書きおきし文を読み聞かせけれど、「なにせむにか命も惜しからむ。たがためにか。何事も用もなし」とて、薬も食はず、やがて起きも上がらで、病み伏せり。中将、人々引き具して帰りまゐりて、かぐや姫を、え戦ひとめずなりぬること、こまごまと奏す。薬の壺に御文添へ、まゐらす。広げて御覧じて、いといたくあはれがらせたまひて、物も聞こし召さず、御遊びなどもなかりけり。大臣上達(かんたちべ)を召して、「いづれの山か天に近き」と問はせたまふに、ある人奏す、「駿河(するが)の国にあるなる山なむ、この都も近く、天も近くはべる」と奏す。これを聞かせたまひて、
会ふこともなみだに浮かぶわが身には死なぬ薬もなににかはせむ
かの奉る不死の薬に、また、壺具して、御使ひに賜はす。勅使には、つきの岩笠(いはかさ)といふ人を召して、駿河の国にあなる山の頂に持てつくべき由仰せたまふ。嶺(みね)にてすべきやう教へさせたまふ。御文、不死の薬の壺並べて、火をつけて燃やすべき由仰せたまふ。その由承りて、つはものどもあまた具して山へ登りけるよりなむ、その山をふじの山とは名づけける。その煙(けぶり)いまだ雲の中へ立ち上るとぞ言ひ伝へたる。
(現代語訳)
その後、翁も嫗も、血の涙を流して悲嘆にくれたものの、何の甲斐もなかった。あのかぐや姫が書き残した手紙を読んで聞かせても、「どうして命が惜しかろうか。いったい誰のためにというのか。何事も無用だ」と言って、薬も飲まず、そのまま起き上がりもせず、病に伏せっている。頭中将は、家来たちを引き連れて帰り、かぐや姫を戦いとどめることができなかったことを、事細かに奏上した。薬の壺にかぐや姫からのお手紙を添えて差し上げた。帝は手紙を御覧になって、たいそう深くお悲しみになり、食事もお取りにならず、詩歌管どもなかった。大臣や上達部をお呼びになり、「どこの山が天に近いか」とお尋ねになると、お仕えの者が奏上し、「駿河の国にあるという山が、この都にも近く、天にも近うございます」と申し上げた。これをお聞きになり、
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2016年04月13日
一人で気楽

「お葬式が終ってみんな帰っちゃってから、私たち二人で明け方まで日本酒を飲んだの、一升五合くらい。そしてまわりの連中の悪口をかたっぱしから言ったの。あいつ卓悅Biodermaはアホだ、クソだ、疥癬病みの犬だ、豚だ、偽善者だ、盗っ人だって、そういうのずうっと言ってたのよ。すうっとしたわね」
「だろうね」
「そして酔払って布団に入ってぐっすり眠ったの。すごくよく寝たわねえ。途中で電話なんかかかってきても全然無視しちゃってね、ぐうぐう寝ちゃったわよ。目がさめて、二人でおすしとって食べて、それで相談して決めたのよ。しばらく店を閉めてお互い好きなことしようって。これまで二人でずいぶん頑張ってやってきたんだもの、それくらいやったっていいじゃない。お姉さんは彼と二人でのんびりするし、私も彼と二泊旅行くらいしてやりまくろうと思ったの」緑はそう言ってから少し口をつぐんで、耳のあたりをぼりぼりと掻いた。「ごめんなさい。言葉わるくて」
「いいよ。それで奈良に行ったんだ」
「そう。奈良って昔から好きなの」
「それでやりまくったの」
「一度もやらなかった」と彼女は言ってため息をついた。「ホテル卓悅冒牌貨に着いて鞄をよっこらしょと置いたとたんに生理が始まっちゃったの、どっと」
僕は思わず笑ってしまった。
「笑いごとじゃないわよ、あなた。予定より一週間早いのよ。泣けちゃうわよ、まったく。たぶんいろいろと緊張したんで、それで狂っちゃったのね。彼の方はぶんぶん怒っちゃうし。わりに怒っちゃう人なのよ、すぐ。でも仕方ないじゃない、私だってなりたくてなったわけじゃないし。それにね、私けっこう重い方なのよ、あれ。はじめの二日くらいは何もする気なくなっちゃうの。だからそういうとき私と会わないで」
「そうしたいけれど、どうすればわかるかな」と僕は訊いた。
「じゃあ私、生理が始まったらニ、三日赤い帽子かぶるわよ。それでかわるんじゃない」と緑は笑って言った。「私が赤い帽子をかぶってたら、道で会っても声をかけずにさっさと逃げればいいのよ」
「いっそ世の中の女の人がみんなそうしてくれればいいのに」と僕は言った。「それで奈良で何してたの」
「仕方ないから鹿と遊んだり、そのへん散歩して帰ってきたわ。散々よ、もう。彼とは喧嘩してそれっきり会ってないし。まあそれで東京に戻ってきてニ、三日ぶらぶらして、それから今度はに旅行しようと思って青森に行ったの。弘前に友だちがいて、そこでニ日ほど泊めてもらって、そのあと下卓悅Bioderma北とか竜飛とかまわったの。いいところよ、すごく。私あのへんの地図の解説書書いたことあるのよ、一度。あなた行ったことある」
ない、と僕は言った。
「それでね」と言ってから緑はトムコリンズをすすり、ピスタチオの殻をむいた。「一人で旅行しているときずっとワタナベ君のことを思いだしていたの。そして今あなたがとなりにいるといいなあって思ってたの」
Posted by yigdfda at
12:21
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