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2017年06月14日

選んの記憶

「看護士さんが、濡れた服をランドリーで乾かしてくれたから……」
「この絵は琉生のお父さんが描いたんだって?ついさっき教えてもらったんだけど、とても温かい絵だな。じっと眺めていると、琉生と出会った頃を思い出して、何だか泣けて来たよ。」
琉生は腕の中から、尊を見上げた。光りを集めて黒い瞳が揺れる。
「お母さんが、亡くなる前に内緒で教えてくれたんだよ。一枚だけ、お父さんが残した絵があるから、見ていらっしゃいって……大学に入る前、お父さんと尊兄ちゃんのアパートを探避孕 藥 副作用しに行ったでしょう?あの時だよ。独りで初めてこの絵を見たんだ。」
「ああ、あの時か。親父に神社のお守りを買って来てくれなんて、お母さんが珍しく頼みごとをした時だ。」
「部屋にいるって。その方が良いだろう?親父がどう出るか分からないが、琉生にはややこしい話は極力聞かせたくないからな。」
「そうだな。」
「それと、髪の毛がずいぶん短くなってるんだ。からかうなよ?」
「そこまで俺は薄情じゃないぞ。でも、下手に気を使わないで、いつも通り軽くいじっておくよ。自然にね。」
「いいお兄ちゃんだ。」
「琉生も可哀想にな……まさか親父がおかしくなるとは考えもしなかったよ。」
「僕もだ。とにかく策を練ろう。」
二人はいくつかのパターンを想定しながら、前後策を練った。
文章を書く仕事をしているだけあって、下手な考えではおそらく太刀打ちできないだろう。先手を幾つも考える必要が有った。
尊の想像通り、父は頑なに受診を拒否し、一筋縄ではいかなかった。
病院と聞くなり、顔色を変えて気色ばんだ。
「ふざけるな。何で健康な俺が病院へ行かなきゃならないんだ。」
「だから、健康診断だって言ってるじゃないか。長い間、ふさぎこ避孕方法んでただろう?僕達もお父さんのことを心配していたんだ。大酒飲むしさ、人間ドッグが嫌なら、せめて肝臓の検査だけでも受けてくれよ。」
看護師の森川は、とりあえず病院に連れていらっしゃいと言ってくれた。
後は上手く医師に話をしてくれる手はずだった。
「自分の事は自分が一番わかる。もう仕事も再開したし、体調は万全だ。検査入院なんぞで休むわけにはいかん。勝手に予約なんぞ入れおって。すぐに断っておいてくれ。」
取りつくしまのない父の言葉に、思い切って尊と隼人は切り出した。
さりげなく。
細心の注意を払って。
隼人を見つめる寺川は、賢明に愛する妻を手繰っていた。
細くなった妻は、いつも自分の事を「弘樹さん」と名前で呼んだ。
だが、呼べば傍に来る妻は、怯えたように自分の事を「お父さん」と呼ぶ。
「これが、お母さんの遺影。一番いい笑顔だからって、お父さんがだんだよ。優しい人だったね……短い間だったけど、僕らは良い家族だったよ。」
寺川は椅子に崩れ落ちて、顔を覆った。
「ち……がう。美和は今、出かけているだけだ。俺が酷く叱ったから、雨の日に出て行ったんだ。」
「親父。お母さんは亡くなったんだ。親父が病院で看取ったんじゃないか。俺達に部屋を出て二人きりにしてくれと言っただろう?親父はたった一人の実の息子の琉生も部屋から追い出したんだぞ。なのになぜ、親父がお母さんの死を認められないんだ。」
  


Posted by yigdfda at 12:41Comments(0)