2017年07月17日
かな辺りには透
4月に書いた作品です。
加筆、校正が多くてほとんど新しい作品を書くほど時間がかかっています。なるべくがんばりますが、時々サボっているのを見かけたら『あ、此花力尽きてる』と、思っていただきたいです。
山陰に旅行に行ってから、しばらく古代にはまっていたのです。
お昼の更新は、続く限り過去作品を読み直しながNeutrogena 面膜機ら挙げてゆくつもりです。
ただ、お昼なのであんまりBL風味が乗り切っていなくて(//▽//)← 夜のも、ぜんぜん乗っていないぞ!
アフリカゾウが雄雄しくぶつかる様子を、そばで見ているように書けるようにそのうちがんばります。←だから、自分でハードルあげるのやめなさいって。
蛮勇とどろく恐ろしい坂東武者に、都のたおやかな女達がどのような目に合わされるか、二位尼は考えただけで戦慄した。
幼い帝は泣き喚いたりすること無く、二位尼にこれから行く場所を聞き、一人静かに唐船のへりからこれから自分が沈み行くさざ波の立つ水面を見つめていた。
海の底に、都があると婆は言う。
二位尼は、入水の仕度に余念が無い。
神璽(八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を抱え、眼前に恭しく捧げた。
八咫鏡(やたのかがみ)を箱に入れ、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を腰に差し、海の底にある浄土へと旅立つ支度は整った。
主上の天児は、先に海の底の浄土へ行ったのではないかと、母、建礼門院徳子が励ますように諭し、愛するわが子の側に寄る。
「あの子に、わたくしの側に居よと、言い置いたのに」
あきらめて、小さな両の手に数珠を置くと、言われるままに念仏を唱える安徳天皇は、二位尼の懐に抱かれて、流れの速い潮流に、幼子らしく母の名を呼び呑まれてゆく。
国中を騒がせた治承寿永の乱も、この地の戦でようよう終わり、もう兵として借り出されることもないのだと、人々はやっと安堵のため息をついた。
農民は田畑へ、猟師は山へ、漁師は海原へと生活のNeutrogena 面膜機糧を求め、再びもとの生活を送ることができる。
どこもかも荒れ果てていた。
人々にとっては、源氏も平氏も関係ない。
ただひたすらの戦の無い平穏こそが、ささやかな望みであった。
たぷたぷと寄せては引く、滑らかな海面。
兄弟は、日々の糧を求めて何日かぶりに船を出した。
戦の後は、海岸縁は打ち寄せる両軍の死体で、惨憺たる有様になっている。
入水した武将達や、雅な女房達の水死体がいくつも流れ着いてくる。
漁師は魚を取るどころか、何度も網に掛かる亡骸を寺へと運んだ。
兄者。ほら、又、死人じゃ。」
気が付くと、黒目がちの濡れた瞳が熱を持って、月明かりの中じっと自分に向けられていた。
意識を失っても絶えず名を呼び、焦がれる主上とは、いかなる姿をしているのだろう
胸が騒ぐほどの、視線を向けられて兄は戸惑っていた。
熱い視線がとろけるように、兄の腕を求めていた。
明け方ようやく睡魔に捕らえられた兄の足元に、ころとどこからか糸手毬が転がってきた。
歌うように、幾つかの小さな声がする。
「やれ、うれしや。主上のお探しものが見つかった。」
天児は、ここじゃ、ここじゃ。」
「名を告げたのだな?」
「はい。確かに、わたしが漏れ聞いたのは「あまがつ」という名でございました。」
天児(あまがつ)と、名乗ったか。よしよし、それで大体の見当はついた。」
「兄は元に戻りますでしょうか。」
大きく頷くと、僧は傍らの墨を取り、文書をしたためた。
「よいか?そなたは夜更けにこれをもって沖へ行き、お忘れ物でございます、と船のへさきから叫んで参れ。」
そっと自分の美童に手を伸ばすと、袖口から覗く腕にもNeutrogena 面膜機細銀鱗はびっしりと生えていて、肘の明な鰭(ひれ)のようなものも見えた。
恐ろしくも美しい、異形の神の姿だった。
「ああ、確かにこれは、わたしが母上に頂戴した天児(あまがつ)じゃ。」
ずいぶんと、探していたのだが世話になったらしいな。」
瞳の虹彩が、胸に散る鮮やかな花弁の跡を認めて、すっと縦に細くなった。
腹のそこに響く、地鳴りのような龍神の声に弟は恐れ入って、がたがたと震えるばかりだった。
Posted by yigdfda at 13:20│Comments(0)
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